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火宅無常。

2021年12月12日 05時36分 仏教 日誌

火宅無常。の画像

「火宅無常(かたくむじょう)」
という言葉をご存知でしょうか。

「火宅」はこの世のことです。
「無常」は永久に不変不滅のものは存在せず、
すべては変わり続ける、ということです。

なぜこの世を「火宅」というかというと、
私たちは火のついた家の中で、
遊びに夢中になっている子どものようだ、
というのです。
したがって、誰かが家の外から
「あぶない、すぐに出ろ」
と叫んでも聞こえないのです。

ある人が、「大変なことになった」と
そこの住職に心境を打ち明けられました。
家族が癌の、それも末期の状態であることが
疑われ、来週病院に行くというのです。

あんなにうろたえたお姿を見たことはなく、
「ワシが住職に言ったことは、誰にも、本人にも
内緒にしてほしい」と念押しされたそうです。
誰かに話さずにはいられなかったでしょう。
ただ、住職に出来ることもなく、ひたすら
「どうか安心して皆さん過ごされますように」
という思いでいっぱいだったそうです。

病院に行かれた翌日、寺の駐車場で
ばったり出会いました。
「あぁ、あれな、医者の誤診だったんじゃ」
と言って、今までの心配を無かったものとし、
だからと言って寺に参って仏法を聞く
ということにもならなかった、と言います。

変わらないものなどないと知らされて「目覚める」人、
変わることを「否定する」人、様々です。

「人生は夏休みだ」と言った人がいます。
明日も休み、明後日も、その次の日も休みで
いつまでも続くと思って遊んだが、
気がつけば翌日が始業式。
手元の宿題は山積み。
見事な比喩ではないでしょうか。

火宅無常。
家の外で声を掛ける人というのは誰ですか。