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NHK『こころの時代』
大八木正雄師「異なるをみとめあう調べ」
6月7日(土)13:00~14:00(再放送)
私が大八木先生に出会ったのは、今から18年前、2007年でした。
学生であり僧侶駆け出しの私にとって、師の存在はかけがえのないものとなりました。
学校卒業後も師のところへ通い詰めました。
自坊が忙しくなって、3年ほど間をあけてしまいましたが、
師は静かに、静かに待っていてくださっていたようでした。
そういえば以前、師が、その師である水原夢江師のところに稽古に行かれていた時の話をされました。
ややこしいのですが、水原師にも、中山玄雄という天台宗の師匠がおられました。
番組で紹介されているように、大原の声明は天台宗の世界です。天台宗の“分家”である浄土真宗は、昭和8年の声明大改訂を含めて、独自の世界を作ってきました。例えば、難解な旋律の伝承は困難であり、大衆唱和(みんなでお経をあげる)に価値を置いてきました。これは天台声明との事実上の「訣別」です。
水原師は浄土真宗の僧侶です。
同宗派からは、「天台かぶれ」とみられ、天台では「真宗さんは…」とみられ、大変孤独であっただろうと思います。
その水原師が、中山玄雄師のところへ稽古に行くと、奥様がすき焼きを御支度なさる。
伝承者の少ない、絶滅しかねないこの世界の門をたたかれた水原師を、本当に温かく優しくお迎えになられたのでしょう。
時が下って2009年~。学校を卒業後も稽古に通っていたころ、夜も遅くなったときには、御自防の一室に布団を用意してくださって、師をとおして水原師、中山師の世界を味わわせていただいたような気分になって、布団の中でうれし泣きをしたこともあります。
さて、お経をあげるというのはどんな意味や価値をもたらしてくれるのでしょうか。
日々の暮らしの中でたびたび起こる、「こころのわだかまり」をテーマに、
一度番組をご覧になられたら、思います。
NHK『こころの時代』より(クリック)
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