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夏至の前に。

2022年06月17日 05時44分 日誌 読む

夏至の前に。の画像

本堂に設置してある扇風機8台を綺麗にしました。

年に1,2度しかこうして解体して「向き合う」機会がないので、扇風機についてしばらく考えてみました。

扇風機は原理的には、電気を用いたウチワでの送風という意味で、エジソンの開発初期から変わっておらず、もうこれ以上革新の余地のないものです。たから、リモコンが付こうと、デザインが変わろうと、どこか「なつかしさ」を感じさせてくれます。

そして、文句を1つもいわず、回り続けてくれます。
私は・・・。

学生時代に京都で聞いた話です。
同期に入学したA君はお寺の出身で、どちらかというとやる気に欠けた、「寺の長男だから京都に仕方なく来た」青年でした。したがって、入学当初は作法から学問まで一貫して身が入らず、休みの日に京都でどう過ごすかばかり考えていたそうです。

夏休みが終わって、A君に法話を話す順番がきて、話してくれました。
実家の盆参りを手伝った。暑くて暑くて、早く終わらせたくて時計ばかり見ていた。ある家で読経をしていた時も、いつものように早めの読経を済ませたのだが、振り返った時、おばあちゃんが汗を流しながらウチワをゆっくり上下して風を送ってくれていた。

早く終わらせたい自分が情けなかった。
自分が支えてほしいとお願いをする前から、支えられているということを実感した、という話でした。

皆さん、今年はどんな夏になるでしょう…。