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中心に置くもの①

2021年05月20日 06時15分 仏教

中心に置くもの①の画像

私の師・大八木正雄先生の言葉、

「生活の中心に仏さまを置く」ことと
「仏さまを中心にした生活をする」ことは
 180°異なる。


この違いは何でしょうか。
分かりにくいかもしれません。
別の例を挙げてみましょう。

「生活の中心に子どもを置く」
「子どもを中心にした生活をする」

「生活の中心に健康を置く」
「健康を中心にした生活をする」

つまり、いずれも前者は「私の生活」「私」が中心になります。
仏教では、この「私」を問題にしています。お釈迦さまは「私」ほど不確実でコントロール不能な存在はない、と説きます。したがって、この不確実・不安定な「私」を中心に置くことを十分警戒しなければなりません。また、別例を挙げて分かったのですが、「子ども」はともかく、「健康」や「経済的なもの」を中心にした生活、というのは、逆に自分をしっかり持っていなければならない雰囲気があります。つまり、中心に据えるものによっては、「自分を見失う」ということが起こるのです。
いずれも、「私」への十分な観察と、そこから得られる気づきが必要です。

「仏教を学ぶ」=「教えを覚える、行を体得する」くらいしか考えていなかった学生に向けた示唆に富む言葉でした。
(②につづく)